工場長の考えてること

工場長の考えてることを脳みそ直だしです。

最期のエヴァ

庵野秀明は誰に愛されるか

 


この文章はシンエヴァ鑑賞前に書いているのでネタバレはない。

 


シン・ゴジラ以降、庵野秀明監督は大人になったと個人的に評価していた。

個人的な作品ではなく、プログラムピクチャー『ゴジラ』の総監督として評価を受け、売り上げを果たし、賞を受賞した。

 


いまや彼の経営するカラーは名だたるアニメーターの会社だ。その経営者として庵野氏は仕事をし、特撮、アニメの資料保存を働きかける社会的に真っ当な人物だ。

 


ある時期、20世紀末から21世紀初頭にかけて庵野氏に自らを重ねる、いやエヴァか、

多くの若者がいた。庵野監督自らメンタルに不調をきたしたとも聞くことに、作品とと時代と、作家とそのファンが奇妙な一致を見せていた。庵野氏はそれをどう考えていたかは知らない。

 


2006年のエヴァリブート時、庵野監督はエヴァを明るく子供達へ希望を提示するものとして制作表明をしていた。

しかし震災後の三作目Qで全く当初の構想は潰えたようにも見えた。

 


庵野秀明氏は社会現象を巻き起こす作品の主人として、かつてはファンに投影される人物だったかもしれないが、今や「大御所」である。念願の『シン・ウルトラマン』の公開も控えている。

言ってしまえば今更に悩まなくても良い地位を獲得したのかも。。。と思わないでもない。

彼はいま、ある程度、好きなことが出来る地位にいる。

それでもファンは彼に期待する。何かとてつもないものを。

しかしみな等しく年齢を重ねる。勝手に成熟したことにされるし、勝手に周りの評価も変わる。

 


庵野氏は愛されたかったのだと思う。重ね合わされるのではなく、愛憎でもなく、作品に投影された自分でもなく、才能とその能力を認められたかった、かつてはそうであったと思う。

 


しかし庵野監督にいつも求められているのは作品的過剰さとファンが自身の何かを投影できる何物かの作品の要素であった。

 


本日、西暦2021年3月8日。シン・エヴァンゲリオン、完結と銘打たれた作品が公開される。

 


全てのファンの期待に応える作品などない。

全ての時間を贖う作品などない。

 


今日、庵野秀明監督が祝福される作品になっていることを願う。